BAD(BCL2 associated agonist of cell death)はBcl-2ファミリーのアポトーシス促進性のメンバーであり、アポトーシスの開始に関与している。BADはBcl-2ファミリーの中でも、BH3-onlyファミリーのメンバーである。BADは他の多くのBcl-2ファミリーのメンバーと異なり、ミトコンドリア外膜や核膜への標的化を行うC末端の膜貫通ドメインを持たない。活性化後は、抗アポトーシスタンパク質とヘテロ二量体を形成することで、それらによるアポトーシスの停止を防ぐ。
作用機序
Bax/Bakはミトコンドリア外膜にポアを形成してシトクロムcを細胞質へ放出し、アポトーシスを促進するカスパーゼカスケードを活性化することでアポトーシスを開始すると考えられている。抗アポトーシスタンパク質であるBcl-2やBcl-xLはミトコンドリアのポアを介したシトクロムcの放出を阻害し、またシトクロムcによる細胞質でのカスパーゼカスケードの活性化も阻害する。
非リン酸化状態のBadはBcl-2やBcl-xLとヘテロ二量体を形成し、これらを不活性化してBax/Bakによるアポトーシスの開始を可能にする。BadはAkt/プロテインキナーゼBによるリン酸化(PIP3によって開始される)を受けると、14-3-3タンパク質とヘテロ二量体を形成する。これによってBcl-2はBaxによるアポトーシスを阻害できるようになる。このように、Badのリン酸化は抗アポトーシス作用を持ち、Badの脱リン酸化(Ca2 によって刺激されたカルシニューリンによるものなど)はアポトーシス促進作用を持つ。後者は統合失調症などの神経疾患にも関与している可能性がある。
相互作用
BADは次に挙げる因子と相互作用することが示されている
出典
関連文献
関連項目
- プログラム細胞死
外部リンク
- bcl-Associated Death Protein - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス(英語)
- Human BAD genome location and BAD gene details page in the UCSC Genome Browser.




